On the Steppes of Central Asia

オーケストラ
 

交響詩 「中央アジアの草原にて」  (ボロディン 作曲)

On the Steppes of Central Asia (Borodin)

(管弦楽、6'19"、MP3 : 5.8MB)

  一般的に "交響詩" と呼ばれていますが、ボロディン (1834-1887) による元の曲名は "交響的絵画 「中央アジアの草原にて」" となっていて、将に "音で聴く絵" といった具象性のある曲です。
 
  楽譜の扉には、... 見渡すかぎり広々とひろがる中央アジアの草原を穏やかな ロシアの歌が不思議な響きを伝えてくる。 遠くから馬と らくだの あがきに混じって東洋風の旋律が響きだたよう。 アジア人の隊商が近づく。 彼らは ロシア兵に護衛されながら 果てしない砂漠の道を安らかに進む。 近くなり、やがて遠ざかって ロシア人の歌と アジア人の旋律が重なり、不思議な ハーモニーをつくる。その こだまは次第に草原の空へ消えてゆく。 ...と書かれています。
 
 曲はこの記述の通り、まず ロシア的旋律が出て、その後 装飾音付きの 3連音 を含んだ東洋的旋律へ、そして最後に両者が一緒になった複旋律的な ハーモニーとなり、しかもそれらが小さな音から大きく盛り上がって 消えて行きますが、悠久の草原と 目の前を通り過ぎる隊商の動きなどの情景が鮮やかに思い描かれ、地平線、草原、青空、隊商、などとともに、開放感、ゆったり、けだるさ、オリエンタリズム、余韻、などといった言葉が浮かんできます。
 
 なおこの演奏は、大きく盛り上がる部分の テンポを若干落とした他は、ほぼ楽譜指定の 92 の テンポにしています。