微  風

水元公園
 

微  風 (そよかぜ)  (武井 守成 作曲)

Breeze (Takei)

(マンドリン・アンサンブル (Mandoln1.2,Mandola,Mandcello,Mandolone,Guitar, Guitarlone)、4'03"、MP3 : 3.7MB))
(写真は 東京・葛飾区: 水元公園)

 終戦後間もない 1947 (昭和22)年 8月の作曲で、同年 11月に 武井守成 (1890-1949) 自身による指揮で NHKの ラジオを通じて初演され、その後も毎晩放送終了前に放送されていた曲だそうで、私は、日本人ならではの共感のある名曲だと思います。 なお題名には "微風" の漢字に "そよかぜ" の仮名がふられています。
 
 曲は ロ短調、2分の2拍子、アンダンティーノ の、3連音が多用された ざわつくような ギターの低音の中、マンドラ の高音から マンドリンへと わびしいような旋律が引き継がれていきますが、やがて ロ長調、レント に転じてから (この演奏の 1'07"〜) 天高く澄み渡った空に風が吹き渡っているかのような 印象のものとなり、さらに イ長調、4分の3拍子になって (3'17"〜)アレグレット の ゆったりとした中で しみじみとした感傷を残して終わります。 なお、楽器編成には マンドローネ、ギターローネ (いずれもヴァイオリン属におけるコントラバスのようなもの) が加わっていて、低音に厚みのあるものとなっています。
 
 マンドリンの トレモロ が将に "微風" そのものを印象づけていることもさることながら、同じ武井の ギター曲: 「大利根」 と同様、長調の部分で 大自然の "スケール感" を感じさせる曲だと思います。