交響曲 第9番 「合唱付き」 第3楽章 (ベートーヴェン作曲)
Symphony No.9 _ 3 (Beethoven)
(管弦楽、15'08"、MP3 : 13.8MB)
(写真は オーストリア: ザルツカンマーグート地方の景色 <スライドショー>)
日本で年末に恒例行事のように各地で演奏される 「第九」 が元々年末のための曲でないことは言うまでもないことですが、その中でこの第3楽章は、"この1年を静かに振り返る" という意味で、この交響曲の中でも特に年末に聴くに相応しい部分と言えるように思います。冒頭からして感動的な静謐さで始まるこの第3楽章は、私は一口に "幸福感とは何か、その根源を問う" とも言えるこの交響曲の神髄のように思います。 反省、瞑想、感謝、希望、祈り、...等々の気持ちが連綿と、そして次第に ポジティブな方向に盛り上がって、最後 は神の啓示を受けたかのような響きがあって、ささやかな納得感、満足感、熱気などを持ちつつ 心静かに終わり、大きく広がる次の 第4楽章の 「歓喜の歌」 に向け導かれていきます。 演奏会などでは時として第4楽章だけ演奏されることもありますが、こうした意味でも、やはり 第1楽章から、そしてこの 第3楽章をじっくり聴いた後で 第4楽章を聴くのと、そうでないのとでは、聴いた後の印象の深かみが格段に異なるものとなると思います。この交響曲は ニ短調ですが、この楽章は 変ロ長調、4分の4拍子。 この楽章は何々形式というものではなく、二つの対照的な性格を異にする主題が交代して変奏していくもので、冒頭 第3小節目から ヴァイオリンで現れる主要主題について、私の持っている解説本では 「神の御座の清らかさと高さを表すように受け取られる」、そして ニ長調、3拍子になってから現れる副主題については 「祈りを込めた希望の喜びを表すかのように感じられる」 とありますが、それらを含め、全体を通して 確かに神の域に入りかけている、あるいは到達した、といった気高く奥深いものが感じられます。...今年 3月11日の東日本大震災の後、同じ ベートーヴェン (関連記述) の 交響曲第3番 「英雄」 第2楽章の一部 を Upしましたが、その後すぐに 「この大震災の記憶が時とともに忘れられることのなく、さらに 原発事故、気候変動、政治経済、等々の不安も消化し、いずれそれらの苦味も先々の栄養源となるよう、今年の年末に Upする曲はこれにすべし。」 との "神様からの啓示" (・・? を受け、作成したものです (2011.12.3. 記)。 そして私自身の気持ちとしては、ひとつの楽章だけとはいえ、この最高の名曲の Up まで こぎつけられたこと自体に (この曲の影響でしょうか) 素直に "感謝" です。