"Le Nozze di Figaro" Overture

ウィーン: ベルヴェデーレ宮殿
 

歌劇 「フィガロの結婚」 序曲 (モーツァルト作曲)

"Le Nozze di Figaro" Overture  (Bracco)

(管弦楽、3'50"、MP3 : 3.5MB)
(写真は ウィーン: ベルヴェデーレ宮殿 <スライドショー>)

  世に数多くある歌劇の序曲の中でも 活き活きと、かつ わくわくさせるという意味で、これほど面白い序曲はないのではないでしょうか。
 
  この歌劇は モーツァルト 30歳の 1786年に ウィーンで初演され、そこでは あまり好評ではなかったものの、プラハでは大好評で、上演後老いも若きも街中で アリアの一節などを口ずさんでいたそうです。 ...歌劇の筋としては、結婚式を迎える従僕 フィガロの花嫁に手を出そうとした伯爵が、フィガロや花嫁、そして伯爵夫人にやりこめられるといった内容のもので、約30年後に作られた ロッシーニの 「セビリアの理髪師」 の続編にあたるものです。
 
  この序曲は ニ長調、展開部のない ソナタ形式。 もぞもぞっとした胎動から、ぽーんと孫悟空のような生き物が生れ出て、宙を飛んで暴れ回るといった印象で進み、イ長調の第2主題も 小節の頭が強調された 活き活きとしたもので、やや落ち着いた経過部を経て、再び第1主題から再現されます。
 
  テンポの指定は プレスト (非常に早く) で、実はこの頁での演奏は、以前は テンポ 266 (演奏時間: 4分28秒) で演奏していたのですが、モーツァルトのいわば逸話として 下記の話を思い出し、これこそ いくらでも テンポを上げることのできる MIDI の真骨頂を示すべき曲と思い、思い切って テンポ 310 (3分50秒) のものに改定しました。 なお私の持っている ネヴィル・マリナー指揮の CDでは 4分09秒であり、それなどと比べても、この演奏は (全く自慢にはなりませんが) 世界最速レベルのものではありましょう (この部分:記; 2012.5.18.)
 
  プラハで、彼は、一夜の 「フィガロ」 を指揮した。オケ合わせの時には、モーツァルトは序曲を、最後にもう一度、入念に稽古した。 その練習は、要するに、「速く、もっと早く」 という注意が一番眼目だったらしい。 楽員たちは、革命前夜の、走ってゆく パリの上流社会のから騒ぎの一日をおいかけるのに、汗みどろになった。 モーツァルトは、それを見ると、予定より早く練習をきり上げ、みんなに向かって、こういったという 「大変結構です。 すばらしい オーケストラで満足です。 あしたは、もう少し速くひいてください!」 と。 ( 吉田秀和 著: 「モーツァルト」 より抜粋)
 
  私は上記の CDの他、レコードと テレビからの録画で 計3組の全曲版を持っていますが、ハイティンク指揮で フルラネットが フィガロ役の 1991年ザルツブルグ音楽祭のもの は適役揃いで楽しめる録画だと思います。
 
  なお 同じ 「フィガロの結婚」 から 「ケルビーノのアリア」、そして同じ モ−ツァルトの歌劇の序曲として 「魔笛」 序曲「劇場支配人」 序曲 も Up してありますので、お聴きください。