2008年 1月 〜 6月 の 今月のひと言 .
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「 初 音 ミ ク 」 2008年 1月 1日
"新春らしい題名だが、何だろう ?" と思った方も少なくないのではないでしょうか。 "新春" とは全く関係のない パソコンの ソフトで、昨年 8月末に発売されて ヒットした、手っ取り早く言えば パソコンに歌を歌わせられる、MIDIソフトと同類の、いや それよりも発展形態と言って良い ソフトです。
パソコン画面上の ピアノロール (ピアノの鍵盤を模した一種の楽譜) に音の高さと長さ、そして歌詞の文字を入力していき、歌声を調整すれば、本当に人が歌った録音かと思われるほどの歌が聞こえるというもので、札幌に本社のある クリプトン・フューチャー・メディア社が ヤマハの音声合成システムを採用し 開発・販売しているものだそうです。
日経パソコン誌にコラムを連載している勝谷誠彦 (かつや まさひこ) 氏もすっかりこの ソフトに ハマってしまった様子が書かれていましたので、早速 Netで検索すると、な〜るほど、素晴らしい ! ...MIDIで歌までは無理だろうと思っていたのが、こんなに リアルな歌声で実現できるとは。 ...ハミング検索に続く カルチャー・ショックでした。
実際には女性の声優の肉声を サンプリングした素材を使っているのですが、"初音ミクちゃん" とやらは 16才、身長158センチ、体重42キロだそうで、Net上で "「六甲おろし」 を歌っていただきました" などという作品を聴くと、その "絶妙な アンバランスさ" に思わずにやりとしてしまいます。
パソコンで音楽を作っている者からすれば、早速にでも飛びつきたいところではありますが、...でもねぇ、あの声じゃ 我が HP上ではせいぜい幼児向けの童謡を歌っていただくくらいしか接点はなさそうで、例えば 鮫島有ミク (!?)、いや 鮫島有美子とは言わないまでも、せめてもう少し大人の声だったら 例えば 「浜辺の歌」 とか 「私のお父さん」 などでも歌ってもらえそうなんですけど、...。
それに家電量販店でその ソフトの箱を手に取ってみたのですが、"萌え〜" といった種類の アニメが大きく描かれた そのパッケージは、とても熟年のお父さんが買って帰るような デザインではなかったです。...でもこの世界のことですから、そう遠くないうちに クラシックの歌曲も歌ってもらえそうな "ミクおねぇさん" も登場することでしょう (^^)。
ヨーゼフ・シュトラウス 2008年 2月 1日
今年の ウィーン・フィル・ニュー・イヤー・コンサートの テレビの生放送で NHKのスタジオに招かれた黒柳徹子 (著名なため敬称略)が 「2年前に ウィーンへ行った時に、ヨハンを聴きたかったのに、丁度 ヨーゼフの生誕180周年とかで、ヨーゼフのものが多くて、...(物足りなかった)」 と言ったところ、同席していた音楽評論家の堀内修氏が すかさず 「いやいや ヨーゼフもいいですよ。 ヨハンより才能があるという評価もあるんですよ」 と、いかにも "それはもったいないことです" といった様子でした。
「天体の音楽」、「オーストリアの村つばめ」 などの曲で知られる ヨーゼフ・シュトラウス (1827-1870) (参照: ウィキペディア) は、どうしても 兄で "ワルツ王" とも言われる ヨハン・シュトラウス (1825-1899) (参照: ウィキペディア) の圧倒的な評価の陰に隠れてしまうのは仕方がないとも言えますが、一見浮わついたような ワルツや ポルカの世界で心の内奥を表出させる力のある、いわば "隠れた天才" という気がします。
"他の作曲家の誰に例えたら良いのか、強いていえば モーツァルトかな、いや シューベルトだろうな" などと思いながら、ウィキペディアに アクセスしてみると、...先ず、「最初は工業技術者の道を歩んでいたが、兄の代役として作曲家として デビュー」 、「43年の短い生涯の間に 220曲以上の作品を残す」 と書かれていて、「ヨハンは兄弟の中で ヨーゼフが一番才能があると語っている」、「その作風から ヨーゼフは "舞曲の シューベルト" と呼ばれている」 とありました。
...な〜るほど、そもそも あの兄貴が 「オレよりも才能がある」 と言っていたくらいだったんですね。 "舞曲の シューベルト" も、もちろんナットクです (^.^)。
...ところで 今回の ニュー・イヤー・コンサートでも 彼の ポルカ 「とんぼ」 が出ていましたけど、実によく演奏される曲ですね。 2年に 1回は登場しているのではないでしょうか。 このHPでも是非入力して Upしたいものですが、 MIDI演奏では 果たして サマになるのかなぁ、...それと とにかく手頃な値段で買える楽譜がなくて、... (-_-;)。
「サウンド・イット」 2008年 3月 1日
1月中旬に 「サウンド・イット」 という ソフトを買いました。 オーディオ・データの録音・編集、オリジナルCDの作成等のための ソフトです。
MIDIデータの マンドリンや ギターの音 を少しでも リアルなものに改善したい、また、オーケストラの音なども もう少しは柔らかくしたい、ということが目的で、既にこの種の ソフトは持ってはいるのですが こうした目的には不十分で、「サウンド・イット」 は果たしてこの期待を叶えてくれるのか、買うのを迷っていたものなのです。
パンフレットや箱書きから私が期待するのは、せいぜい リバーブ (エコー) をかけるという程度のことで、それも現在使っている SSWや この種の CD作成ソフトと同じ程度の効果しか出ないのでは、新規に買った分だけ損ということになります。
それと、明らかに エコーを感じさせる音作りにしてしまうと音同士が くっついたり ぼやけたり、でかえって リアル感を損ない、エコーのない シャキッとした演奏の方がまだ マシということになってしまいますので、エコーが分かるかどうかくらいの ごく薄くしかかけられないと思うと、そのために 1万円以上を払うというのは高い買い物ではあります。
思い切って買った結果は、...他のこの種の ソフトと同様、エフェクト (音響効果) のための色々な機能がある中で リバーブに関しては ほぼ期待通りで、使い買っても良く、一先ずは OKといったところでした。 そこで早速、1月末に1週間かけて、Upしてある全ての曲について この 「サウンド・イット」 を通して若干づつの エコーをかけました。
それにより全体に若干は柔らかい音にはなったかな、とは思うものの、この作業を終わってみて思うことは、今回、気がつくかつかないかくらいの改善でしかなく、理想の音づくりへの道は遠いなぁというのが実感でした (-_-;)。
ホームページ・スペース 2008年 4月 1日
パソコン雑誌に "マイクロソフトが無料で 5GBまで使える オンライン・ストレージ (保管庫) ・サービスの 「Windows Live SkyDrive」 を開始した" という記事を見て、早速この 3月中旬から 利用し始めました。
我が HP (ホームページ) 掲載に必要な容量 (ホームページ・スペース) は 現在 1.2GB位。 それに対して プロバイダーが用意している スペースは無料で 300MBまで、月額 500円払えば 1GBまで、それ以上は ナシ。今、毎月 500円を払っていますが、当然 1GBでは足りず、仕方なく ギター曲に限って ファイル・サイズの小さな MIDIデータで掲載 (他の曲は MP3データで掲載) してきている状況です。
これまでも Net上には無料で ファイルを保管してもらえる ストレージ・サービス (外部保管庫) もあるにはありましたが、Web頁からは音データへ リンクできず、その意味で 我が HPの用途には合わないものばかりであり、この SkyDriveでは それができるということで、私の ニーズを満たしてくれるのではないかと期待しました。
...が、SkyDriveに置いた曲データを使って 今のように曲の頁上で音を鳴らすことはできませんでした。 ...つまり HPから曲データに リンクはできて DL (ダウンロード)できても、それを HP上で生かす (鳴らす) ことはできないのです。 それができれば曲データをそちらに移し換えることによって ギター曲も MP3で鳴らすことができ、当然月額 500円も要らなくなるのに、....残念 (-_-)。
実はこれとは別に WIndows VISTAでは困ったことに 各曲の頁の下の "ダウンロード" を クリックしても XPのようには DLできず、VISTA利用者が増えつつある中で早期に解決しなければならない課題となっていましたが、これについては SkyDriveを利用することによって、VISTAを含め どの パソコンからも DLが可能、...ということで この問題については解決です (^.^)。 早速全ての曲の頁を MP3でも MIDIでも DLできるように改定しました。
...ということで、現在の "頁を開いて鳴ってる音は ギター曲のみ MIDI" という、他の曲との バランス上 ちぐはぐな状況は まだ暫くは続くことになります。 ...それと私自身にとっては、"同じファイルを片や ストリ−ミング (Web上で聴くだけ)用として プロバイダーへ Up、そして DL用として SkyDriveへ Upする" という ダブッた、効率の悪い作業を余儀なくされるようになってしまいました。...それにしても片や有料で 1GB、片や無料で 5GBとはねぇ (・・?。
ライヴ派・レコード派 2008年 5月 1日
元々 ライヴ (生演奏) を聴きに行くということの少ない私は 最近ますます ライヴとは縁遠くなってきました。 どうも自宅で レコード、CDなどで聴く場合と比べて、私には満足感が今ひとつと感じられてしまうのです。
ライヴには本物としての魅力や迫力、そして聴衆もその場の音造りに関与しているという "一期一会" の感慨など、録音では絶対に真似のできない価値があることは言うまでもないことですが、曲や演奏の作り、何を伝えようとしているのか、などの方に関心が高い私などのような聴き方には、そういったことにはあまり価値感を感じていないから、と自分なりに思っています。
この私のような いわば "レコード(録音)派" の者には "ライヴ派" の人達が口にしがちな "本物至上主義" といったものには、もとより抗えない感もあるのですが、先日、この点に言及した テレビ番組があったので、ご紹介しておきましょう。
今年4月5日は カラヤン 生誕100年ということで、NHK教育テレビで コラムニスト・天野祐吉氏の語りと カラヤンの映像で纏められた 「知るを楽しむ−私のこだわり人物伝 −カラヤン− 時代の トリックスター」 が シリーズで放映されていて、4月2日の 「第1回 複製芸術の扉を開く」 では天野氏はこんなことを言ってました。
「少なくとも19世紀の芸術というのは オリジナル (生演奏) のものしか芸術でないもののような、一番の芸術の基本は オリジナルだという考え方がずっと支配的だったように思うんです。」、「音楽は元々 コンサートに行かなきゃ オリジナルとは言えなかった。 コンサートに行くことだけが音楽と言う芸術と付き合うことだった。 それが レコードというものを聴くことで、それ自身が芸術と向かい合うことだということになってきた。」
「あんまり コンサートへ行かない人間にとっては ライヴであることの意味はほとんどなくて、むしろあんまりそういう ライヴ的な情景から自由になっている、純粋に音だけを追求した、そういう スタジオ録音の方が僕みたいな、あんまりそういうものに通でない人間には分かりやすくて美しくて嬉しいっていうことなんですね。」
"ライヴ派" の人達からすれば自己弁護のように聞こえるかも知れませんし、録音・録画に力を注いだ カラヤンの行き方は "邪道" とさえ思われる方も少なくないでしょうが、そのお陰で そこそこ豊かな ライヴならぬ 音楽ライフを送れている者には大いに ナットク (^.^) といったところでした。
オペラ革新 2008年 6月 1日
ハイビジョン映像など最近の放送技術の発展の恩恵で オペラを見る機会が多くなりました。...が、私自身長期保存用に録画しておきたいという意欲を湧かせるものはかえって少なくなったような気がします。
昔買った LD (レーザーディスク) や録り溜めていた VHSテ−プで残っている オペラを今見ると、画質的には薄ボケて、中には長時間見るのも シンドいものも少なくありませんが、今はむしろこれらの方を 長期保存用に少しずつ DVDに写していて、最近撮ったものは 1回見たら消してしまうといったことが多くなっています。
長く保存しておきたいと思わせる オペラは、作品がいい、歌、演奏がいいということはもちろんのこと、演出に リアル感がある、画質もいい、などの諸条件がありますが、近年めっきり増えた "現代版演出" のものには、どうも共感できないものも少なくないような気がします。
背広や革ジャンを着た公爵とか伯爵が オートバイに乗って登場したりするのも ちょっと いかがなものかと思いますし、中には細かい筋が随所で変えられていたり、本来とは別の役が他の役の歌を歌ったり、ということとも少なくないようで、それらを見ると、やはりどこか溶け込めないなぁと思わせられてしまいます。 全体にどぎついような描写が少なくないのも、感興をそぐ原因にもなっています。 それらが現代風の演出に合わせて行われているとすれば本末転倒でしょう。
...オペラを観る機会の多い ヨーロッパの通の人などには相変わらずの舞台では行く気もしないということもあるのでしょうし、演出家には いわば "オペラ革新" としての クリエイティヴな演出が求められているのでしょうが、今では "オキテ破り" のない オペラはもう望み薄なのでしょうか。
通でもない私などには、やはり昔の話は昔の衣装で、さらにその時代を感じさせる おおらかさのある演出の方が、しっくりとして安心感があるというものだと思います。 ...日本の歌舞伎のようでは いけないんでしょうかね。...そう言えば、何年か前に テレビで見た 中村勘三郎 のニューヨーク公演の歌舞伎は、現代流に解釈し直すとかいう "コクーン歌舞伎" というものだそうで、そこでは 最後に ちょんまげ姿の江戸時代の日本人が現代の ニューヨーク警察に追われていましたが、その程度のご愛嬌でいいと思うんですが、...。
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