2017年 1月 〜 6月 の 今月のひと言 .
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紅白歌合戦 2017年 1月 1日
つい先ほどまで 67回目の紅白歌合戦の華やかな歌の舞台が放送されていました。
この毎年の一大イベントには、過去歌手の質が下がったの、つまらなくなったの、等色々なことが言われてもきてました。 私なども歳をとるにつれ、初めて聴く歌が圧倒的に多くなり、いやその前に初めて聞く歌手、グループも多くなり、一方で古手の歌手については 「またこの歌か」 と言いたくなるような場面も少なくなく、まともにこの長時間の番組を見る習慣もなくなってきました。
同じ年頃の人とこの話題になると皆同じようで、昔は皆けっこう わくわくしながら、また家族皆で わいわい言いながら見たものだが、今では歌自体にもなじめず、見る気もしなくなったといったような話になりがちです。
でも "昔は良かった"式に こう言い切ってしまうには、ためらいがあり、月並みな感想ですが、各々には じっくり聴くと、やはり時代の変化に応じたそれなりのものがあると感じさせるものも多いように思います。 要は時代の変遷で、一世を風靡するといった流行歌の時代はとうに去った今、何事も万人に支持されるような番組の難しさを感じさせられるだけのことではないでしょうか。 世の中の歌の幅が広がったことを喜ぶべきなのかも知れません。
MIDIの敷居 2017年 2月 1日
先月まで 5回に亘り 日経パソコン に MIDI音楽による演奏づくりの方法についての連載が載っていました。 これを読んでいて、長年 MIDI に関わってきた私には (いや "私でさえ" と言うべきかも)、今時の "MIDI のハードル" というか "敷居" の高さを感じさせられました。
日経パソコンでは パソコンの技術的な ノウハウなど、ズブの素人にも分かり易く書かれていてそれが読者からの大きな支持を得ているのだと思いますが、事 MIDI となると、先ず用語が専門的で難しい、使用する ハードや ソフトの操作の機能が多すぎて、どう操作すればどういう結果が得られるのか、音の問題でもあり、読んだだけでは分からない。
こうした問題は日経パソコンの書き方の問題というより、MIDI の ハードや ソフト開発の世界に、今、例えば ニュース解説での池上彰のように、ユーザーがざっくりと理解し解決できるという製品を提供できる能力が不足しているような気がします。
MIDI の技術は昔に比べて格段に進化したそうですが、全くその実感も恩恵も私には感じられません。 私が昨年買って、今のところ失敗したと思っている VSC がそうですが、あらゆる音、あらゆる機能を駆使して聞いたこともない音で演奏を作ろうとする プロ仕様のものも必要でしょうが、ごく普通の人が一般的な楽器を使って普段聞こえる音で楽器を鳴らすような音で十分という音をなぜ簡単に実現きないのか。 この点では昔の方が機能面で発展途上でもあったこともあって、敷居が低かった、いや勝っていたのではないでしょうか。
今の Net を見ていて、自作の音楽を載せている MIDI の数や質は 10年20年以前に比べて 全く低調だと私は思いますが、これは著作権侵害などへの音楽業界の警戒などの問題などより、今の ハードや ソフト業界の対応の問題の方が大きいのではないかと思います。
フルヴェンの ステレオ 2017年 3月 1日
先日、ふと何気なく、フルトヴェングラーが指揮した演奏の本物の ステレオ録音があるのか 気になって、 "フルトヴェングラー" と "ステレオ" の文字で ブラウザ・ソフトを検索してみたら、予想以上の数の記述が 出てきました。
実は私は今も 昭和40 (1965) 年頃に買った、彼の指揮した 「エロイカ」 と 「第九」 の疑似ステレオの レコードを持っていて、今回検索してみた動機は、多分 「そんな録音は邪道だ」 と言う人もいるであろう一方で支持する人も少なからずいる筈で、その辺が今どうなんだろうと思ったからでした。
巨人;フルトヴェングラー (1886-) が亡くなったのは 1954(昭和29)年。 私の子供の頃の記憶では、日本でもその少し前 (今調べたら最初は 1952年でした) の時点で、NHKの ラジオ第1放送と第2放送の電波を使って "立体放送" (当時そう言ってました) の実験放送をしていたので、ステレオ・レコードが世に出る数年前とはいえ、彼の演奏が ステレオ録音されていても不思議はない時期でした。
検索の結果出てきた いくつかの記述を読むと、結論的には彼の本物の ステレオ録音はなく、疑似ステレオは私が買った当時以後かなり下火になったものの、最近 CDで復刻版も出ていたそうです。 そしてそれらの記述の中に、「クラシックの名演は 1953年頃に一番多く出ているので、モノーラル後期の良好な音質が多数出ている以上疑似ステレオや エコーつきの音源がもっと CDで出てほしいですね!」 と言うものがありました。 「そうでしょ、そうでしょう」 という気持ちです。
プロジェクション・マッピング 2017年 4月 1日
先月の新聞の音楽評の コラムに 「びわ湖ホールが 4年かけ、ワーグナーの楽劇 『ニーベルングの指輪』 4部作を上演する。 第1弾の 『ラインの黄金』 を見た。」 とのことで、その評が載っていました。 そして 「今回の舞台をひと言で言えば、台本をできるだけ忠実に視覚化したもの。その視覚化の大きな部分を、近年劇場にも応用されることの多い プロジェクション・マッピングが支える。」 とありました。
さらに 「これによって竜と言われれば何十mもありそうな竜が見事に現れるし、虹の橋を渡ってゆくと書かれていればちゃんと虹が出て、そこを人が歩いていく。」 とのこと。 ...いやー、いいですねぇ。 この評によると肝心の歌手や演奏陣の評価も良く、その最後には 「これから 3年、『指輪』 を初めて経験するという人には絶好の プロダクションとなるだろう。」と書かれていました。
近年 『指輪』 の舞台といえば、日本の能のようなほとんど何もない、いじわるな見方をすれば、中途半端で子供だましの舞台より 見る側に情景を想像させる方が マシとでもいった舞台が主流だったように思いますが、台本通りの光景が忠実に見られるようになった技術の恩恵は大きいものがあると思います。 既に 「魔笛」 など メルヘンあるいは ファンタジー要素のある歌劇などでは プロジェクション・マッピングが導入されている例もありますし、また単に CG合成の映画に限りなく近づいていくだけのような気もしますが、この 「指輪」 の音楽と融合した神々の壮大な世界など、ビデオでもいいですから、ぜひ観てみたいものです。
断 捨 離 2017年 5月 1日
1週間ほど前に、37年間住み慣れた一戸建ての家から JRの同じ駅により近い場所の マンションに引っ越しました。 今特に体に不調は感じていないものの、今後ますます歳をとるとともに増す体力面などでの不安を解消するために、緑と坂の多かった環境から便利さの勝る環境への シフトを図ったという次第です。
でも、さて引っ越す段になってから立ちはだかるのが "断捨離"。 ...それまでの持ち物の 1/3 は処分したと思っても、新しい住まいにはまだまだ入りきらず、引越し後も断捨離の作業が続いているという有り様です。
1年半前に書きました "ミニマリスト" は、それを書いた時、私自身としては新しい時代の傾向という意味合いのものでしたが、それは、そこまで徹底する必要はないとしても そもそもの住まい方の基本的な "心構えの問題" であったと、遅まきながら実感されました。
しかし 1,000枚ちかくある レコード、CD、DVD、BD、カセット・テープはもちろん、そして機械が使えなくなって聴くこともできなくなっている オープン・リールの テープや MDなどまで、こちらは "気持ちの問題" として 断捨離の対象には とても含められないでいます。
ハイレゾ 2017年 6月 1日
高精細化というか細密化の技術の進展によって、最近では ビデオの世界では "4K、8K、16K" など、そして オーディオの世界では "ハイレゾ" が市場に浸透しつつあるようです。
多くの方には既にご存知のように、"ハイレゾ (High Resolution)" とは 音における高精細技術で、私も今も昔のように低レベルながらも そこそこに オーディオに凝っていたら、今頃は ハイレゾ機器や音源を購入して、「さすが素晴らしい!」 などと その使用感をこの "今月のひと言" に書いていたかも知れません。
が、どうもそうした興味・関心は薄らいでしまって、今後もそうしたことを書くこともあるのかしらとさえ思うくらいです。 大型電気店などで試聴もしてみましたが、確かに従来からの CD などに比べて良いとは思うものの、"ぐっと胸に来る" というほどまでは残念ながら感じません。
その原因は、ひとつには "歳のせい" でしょう。 またひとつには既に高度化が進んだ中での ハイレベル同士の比較で、従来のものとの差が小さくなっているからなのかも知れません。 なんせ今だに レコードで十分 という意識が残っている私のことですから、我ながら無理もないと妙に納得している面もあるようにも思います。
書店の雑誌コーナーを見ると、レコードや管球アンプなどを基調とした、一時代前のものと誤解されても不思議はないような雑誌がけっこう多く並んでおり、私もむしろそうした方の方に興味がそそられ、また安心感というか意を強くしたというようなものを感じます。
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