城ヶ島の雨

城ヶ島の雨 (梁田 貞 作曲)
Jogashima no Ame (Yanada)
(マンドリンとギター、2'32"、MP3 : 2.3MB)
(写真は 神奈川県三浦市: 城ヶ島にて)
雨は降る降る 城ケ島の磯に、
利休鼠 (りきゅうねずみ) の 雨が降る、
雨は真珠か 夜明けの霧か、
それとも私の忍び泣き。
舟は行く行く 通り矢の端 (はな) を、
濡れて帆揚げた 主 (ぬし) の船、
ええ、 舟は櫓 (ろ) でやる
櫓は唄でやる、 唄は船頭さんの心意気。
雨は降る降る 日は薄曇る、 舟は行く行く 帆がかすむ。
1910
(明治45、大正元) 年、北原白秋 (1885-1942) が隣家の人妻との不倫事件で投獄され、その女性と城ヶ島で詫び住いしている中で 1913
(大正2) 年に作った詞に、梁田 貞
(やなだ ただし) (1885-1959) が音楽会に間に合わせるためにわずか 2日の間に作曲した歌曲です。 なお その初演となったその音楽会では梁田自身が歌ったそうです。
4分の3拍子。 この編曲では ニ短調で、中間部で ニ長調。 いかにも雨にたたられたように湿っぽく始まりますが、それだけに中間部の晴れやかさが冴えていて、そこでは 勇壮、スケール感、粋、そしてゆっくりしていながら スピード感のようなものも感じられ、声量のある歌手が歌うと、将に日本の カンツォーネといった雰囲気があるように私は思います。 そしてそれがまた、最後の哀感を引き立てています。
昔、湿っぽいだけの歌だと思って冒頭だけしか聴いてなかった私は、ある時、中間部まで聴いた時に一転して評価が変わり、さすが名曲と思うようになりました。 特にその中間部の 「舟は行く行く...」 は、今でも 頭の中で大声を出したつもりで歌っただけでも すっきりとした気分になります。
なお当サイトには 「
夏は来ぬ」 など
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