歌劇 「魔笛」 より 「男と女」 (モーツァルト作曲)
"Bei Männern,welche Liebe fühlen" from "Die Zauberflöte" (Mozart)
(マンドリン・アンサンブル、2'54"、MP3 : 2.7MB)
(写真は ザルツブルグにて)
歌劇 「魔笛」 の第1幕、道化役で鳥刺しの パパゲーノが 夜の女王の命令で探していた その娘の パミーナを早くも一旦、見つけ出し、そこでその二人によって歌われる デュエットで、名歌の多いその歌劇の中では比較的地味な歌ですが、互いを思いやるといった優しさに満ちた名歌です。この編曲は ニ長調、8分の6拍子。 ゆっくりと相手を気づかいながら歌われ、ぽっぽ..と スタッカートで発音されるところなど、息が合っていると、男女の混声に素晴らしい瞬間が感じられますが、ここでの演奏の マンドリン (女声: パミーナ) と マンドラ (男声: パパゲーノ) では、("胃に優しい演奏 (?)" を心がけた積りではありますが) なかなか そうはいかないようです。舞台では、お姫様と 気はいいものの野卑な男の、恋愛関係にある分けではない二人が、互いに 「そうなのよねぇ」、「そうなんだよねぇ」 と、しんみりと共感し合って歌われる場面で、ここでのこの絶妙な音楽が "男女の関係" についての深い意味を与えているように思います。 (なおこの歌の題名は 「恋を知る男たちは」 で言われることもあり、この頁の ドイツ語表記はその題名にしてあります。)...たまたまこの曲の Upを準備していた この 8月末に、NHK で放送された二期会合唱団のこの歌劇の演出をした宮本亜門が、開幕前の コメントでこの歌について触れていました (2015.10.24. 記)。 ....「『魔笛』 の第1幕にある 『男と女』 は素晴らしい曲で、男と女には崇高な愛を感じさせる瞬間がある筈で、そうした心が透き通るような、お互いを認め合うような瞬間を思い浮かべながら歌う この デュエットの心は特別な人だけではなく誰でも持っているものなんだというのが モーツァルトの精神なんですよ」 と。 ...よく理解された発言だと 僭越ながら 思いました。
< 歌詞邦訳 > 1. (パミーナ) 「恋を知る男なら素晴らしい心がある筈」、 (パパゲーノ) 「甘いときめきを分かちあうのが女の大事な務め」、
(二人) 「共に愛を喜び合い、愛によって生きていこう」。
2. (パミーナ) 「どんな苦しみも愛が和らげてくれ、生きる人は皆愛に身を捧げる」、 (パパゲーノ) 「愛があるからこの世は楽しい。愛は世界中に行き渡る」、
(二人) 「愛の目的は結局ただ一つ、女と男ほど気高いものはない」。
(二人) 「男と女、女と男。男と女、女と男」、「一緒に聖い世界へ入って行く、一緒に聖い世界へ入って行く」。