"Orphée aux Enfers" Overture

パリの市街等
 

喜歌劇 「天国と地獄」 序曲 (オッフェンバック作曲)

"Orphée aux Enfers" Overture  (Offenbach)

(管弦楽、8'46"、MP3 : 8.0MB)
(写真は パリの市街等 <スライドショー>)

  喜歌劇 「天国と地獄」 と言えば、普通先ず思い浮かぶのが フレンチカンカンの代名詞とも言える、そして日本では運動会の BGM などでもよく使われたりする 「地獄のギャロップ」 でしょう。 この序曲でも最後に登場しますが、その前に出てくる美しい メロディーも、それ以上と言って良いくらいの魅力的な序曲で、マンドリン・オーケストラでも演奏されることのある曲です。
 
  喜歌劇 「天国と地獄」 は、モンテヴェルディや グルックなどによる歌劇もある有名な ギリシャ神話の オルフェと エウリディーチェの話を パロディ化したもので、原題は 「地獄のオルフェ」。
 
  その あらすじは...、互いに別れたがっている倦怠期の夫婦の、地獄に連れ去られた妻:エウリディーチェを、夫:オルフェは世間体を気にして しぶしぶ取り戻しに行く。 天国にいる主神:ジュピドンは、連れ去った 地獄の王:プリュドンの非行を責める一方で、評判の美人である エウリディーチェを一目見たくて、他の神々を引き連れて地獄へ降りて行く。 が、彼女を地上へ返したくなくなってしまい、その結果、ジュピドンの陰謀によって、オルフェは でめでたく (?) 妻を取り戻せず、妻は神々の元に残る、...といった ドタバタ喜劇です。
 
  この序曲は劇中の名アリアなどを繋ぎ合わせたもので、ト長調で勢いよく始まり、緩急の変化にも富んで、しっとりとした部分ももちながら、最後は ニ長調の ギャロップで賑々しく終わります。
 
  この中に 2つの抒情的な旋律がありますが、その前の方、(この演奏では 1'36" から) ハープなどのさざ波に乗って チェロの ソロから木管楽器に引き継がれて現れるのは、妻:エウリディーチェが プリュドンに地獄へさらわれる時に歌う 「死が微笑んでいる」 の旋律、そしてその後 (3'45" から) ヴァイオリンの ソロ で現れるのは、音楽院の校長である 夫:オルフェが、いやがる妻に奏いて聞かせる自作の ヴァイオリン協奏曲の旋律で、それらの美しさは、最後の ギャロップ と対照的で魅力に富んだものだと思います。
 
  なお、弦を ヴァイオリンから マンドリンに替えた 「地獄のギャロップ」 と マンドリン・アンサンブル演奏による "ヴァイオリン協奏曲" も Upしましたので、お聴きください。