モーツァルトの歌劇 「魔笛」 の第1幕で、森で鳥を捕まえては夜の女王に献上し、そのお駄賃をもらって暮らしている "鳥刺し
(とりさし)" の パパゲーノという陽気で気のいい独り身の男の、いわば自己紹介の歌です。
ト長調、4分の2拍子。 いかにも野暮でお調子者の歌という感じです。 この歌詞の邦訳には 「俺は鳥刺し、楽しく ハイ、ほいさっさ!」 とか 「私は鳥刺し男でござる。いつも愉快に、ハイサ、ホプサッサ!」 などというものもありますが、"ほいさっさ!" の所は そもそもの ドイツ語の歌詞が "Hopsasa!" で、こうした言葉の意味と語感そのものが ドイツも日本も同じだなぁと思わされます。 そしてその部分など、マンドリンでは
スタッカート の音の伸びが人の声や ヴァイオリンの音より短いせいか、それらより野暮ったさが強調されるような気がします。
曲の中で何回も "ピロピロピッ" と聞こえる音は、彼が歌の途中で吹く、鳥をおびき寄せる笛の音で、実演や映像などでは一目瞭然ですが、ここでは マンドリン合奏の中で マンドリンが奏いているので、ちょっと分かりにくいかと思います。 それから実演では管弦楽の前奏と歌で計 4コーラス分ありますが、ここでは短く、歌を 2番までの計 3コーラス分にしてあります。
そして音楽的に注目したいのは、冒頭の音型がこの歌劇中の多くの歌にも出てくる動機に基づいていることで、当サイトに Upしてある ギター曲で ソルの 「
モーツァルトの魔笛の主題による変奏曲」 の冒頭と比較しても最初の 4つの音がほぼ同じである点です
(関連記述: 「魔笛の主題」) 。
なお当サイトには この歌劇でやはり パパゲーノが歌う 「
男と女」、「
パパゲーナ!、パパゲーノ!」 も Up してありますので、聴いてみてください。
< 歌詞邦訳 >
1. 鳥を捕るのが俺の仕事、いつも陽気な鳥刺しさ、皆が知ってる有名人。
得意の笛を吹きならし、巧みに鳥を呼び寄せる、楽しく愉快にやるのさ、鳥はみんな俺のもの。
2. 鳥を捕るのが俺の仕事、いつも陽気な鳥刺しさ、皆が知ってる有名人。
娘を捕まえる網がありゃ、山ほど捕ってみせるのに。捕ったら篭に閉じ込めて、娘はみんな俺のもの。
3. どっさり砂糖と取り換えて、お気に入りの娘にプレゼント、娘がキスすりゃ俺たちゃすぐに夫婦さ、
俺の隣で寝る女房に子守唄を歌ってやろう。